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翻訳者の効率アップソフト5選(無料編)

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翻訳を進めていくうえで入れておくと便利なソフトがいくつかあります。
無料・有料いろいろありますが、今回は無料ソフトに絞って「これは役に立つ」と思うものを紹介します。

※ここで紹介するソフトは、私の独断と偏見によるものです。また、あまりにも有名なソフト・ツールは他の方が紹介しているだろうということで、ややマイナーなものを優先して掲載しています。

Clibor

(出典:https://chigusa-web.com/clibor/)

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Cliborはシンプルなクリップボード管理ソフトです。何度もコピー&ペーストを繰り返す翻訳作業において、過去のクリップボードの内容を何度も再利用できるのは非常に有用です。
最大108件まで履歴を管理できるほか、定型文もまとめておけることから、メール作成もスイスイとスピードアップしてくれます。
さらに正規表現も使えば、履歴の整形もできたり……
インストールして損はないソフトです!

LibreOffice

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Microsoft Office の無料互換ソフトです。
翻訳を生業としている方であれば、ほとんどは本家の方を持っていると思いますが、それでもLilbreOfficeをインストールしておくのをお勧めします。

というのも、LibreOfficeにはMS Officeにはない機能がいくつか備わっているからです。
まずはWordの互換ソフト Writerは正規表現による検索と置換ができます。これにより数字のみの部分だけを削除することができます(例えば、「2022」のみの部分は削除するが、「2022年」は削除しないなど)。
他にも改行を整えたり、順番を入れ替えたりと、ワイルドカードまでしかないWordより、強力な操作が可能となります。
次にExcelの互換ソフトCalcは、多言語CSVの入出力がExcelより快適です。中国語をはじめ、アルファベット以外の表を取り扱うならCalcで読み込むのがお手軽でしょう。
さらにWSLを使ったunoconv コマンドにも必須であったり……
このように使いわけることもできますので、ぜひLibreOfficeも共存させておきたいところです。

BoostNote

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BoostNoteはメモ帳の代わりになるソフトです。何が便利かというと、保存操作のいらないところ!
私は以前、翻訳作業中に気になったことや参考資料などをメモ帳に書き込んで保管していたのですが、ちょっとしたメモ書きなのに保存場所やファイル名を毎回指定するのがイヤになってきました。また、誤って「保存しない」を選んで閉じてしまったことも多数あり……
そんなこんなで、このBoostNoteに辿りつきました。
プロジェクトごとにノートブックを分けておけば、内容の整理もできますし、一行目がタイトルになるので、ファイル名を決める手間を省けます。
さらに書き込んだ内容はリアルタイムで保存されるので、消してしまうというミスも防止できます。

Keypirinha

(出典:https://keypirinha.com/)

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Keyprinhaはキーボードから呼び出し可能なアプリケーションランチャーです。Macを使ったことのある方なら、AlphredやQuicksilverのようなものを想像していただければと思います。

これがあると特定のフォルダを開くのに、わざわざショートカットをつくったり、エクスプローラーで階層を潜ったりすることなく開くことができます(最初のみ、Keyprinha上で階層を進めていく必要があることもあります)。

また、アプリを起動することもでき、WordやExcelなどインストールされているソフトを呼び出すのもマウスいらず。

さらにさらに、電卓機能もついているため、簡単な計算ならキーボードオンリーで検算できてしまうのもポイント。

難点は日本語の情報がやや少ないこと。
どうしても難しい場合は、似た機能を持ったLaunchyでもいいかもしれません。

Visual Studio Code

(出典:https://code.visualstudio.com/)

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最後はやっぱり皆大好きVisual Studio Code!
……え?プログラマ用のツールだろうって……?

もちろん、本来の用途はプログラミング用ではあるのですがこのVS Code、他にも活かさないともったいないくらいの機能がついているんです!

まずはファイル横断検索&置換。
翻訳支援ツール(CATツール)でよく使われるxliffやtmx/tbxといったファイルは、実はxmlフォーマットのプレーンテキストなので、フォルダ内の一括検索や置換が可能なのです。
昨今のツールのコンコーダンス検索は、英語系のあいまい検索に対応するためか、日本語や中国語の検索精度が低く、はっきり言って使いにくいと思います。
そのときはこのVS Codeを使えば、長めのフレーズでも完全一致検索をかけることが可能です(参考)。

さらに実は、この広い世の中にはVS Codeを小説執筆用に改造している強者(SF作家 藤井太洋氏)もいて、拡張機能を開発・公開してくれています。

(出典:https://marketplace.visualstudio.com/items?itemName=TaiyoFujii.novel-writer)

この拡張機能をインストールすると、縦書きに対応したり、文字数カウントや編集距離の計算などをしてくれます。
さらに左側の画面がカラフルなことに気がつくと思いますが、なんとこれは日本語の品詞に応じた色分けがされているのです!こうすることでタイプミスや主述・てにをはの不一致の予防にもつながります!

そしてさらに、GhostTextという拡張機能&ブラウザ拡張も併用すれば、ブラウザ版エディタと接続し、メモリや用語をWebで確認しつつ、訳文の作成のみを手元の使いやすいエディタで行う……といったことまで可能!

残念ながら最近の Phrase は textarea や input ではなく、contenteditable を使っているようなので、上手く対応できませんが……色々なツールで役に立つかもしれません。

ここまで高機能で翻訳に使えて無料なのですから、これはプログラマ以外もインストールしない手はありません!

以上、翻訳者の効率を上げてくれる無料ソフト 5選でした。次回は有料ソフトも紹介したいと思います。

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